延岡自伐型林業研究会視察 文責:二宮信

 3月10日に宮崎駅東口に宮崎周辺からの参加者13名がマイクロバスに乗り視察に行きました。

 延岡市の現地で7名の参加者と合流して今回の視察になります。
 宮崎からの参加者は、まず延岡市平原町の樹齢500年というムクノキを見て、その幹の太さに皆さん驚いておられました。次に愛宕山の北側にある春日神社の大楠の視察に行きました。雨の降る中境内に立つ楠の木の荘厳さに触れて自然の力を感じることができました。昼食を各自車内や東屋でとり、延岡・門川の参加者と合流しました。
 雨のために日程を変更して、大崩茶屋の部屋を借りてまず、小野一仁さんと野々下博司さんから映像を交えての説明がありました。約2時間の講演でしたが、皆さん飽きることなく聞いて、質問も林業の機械やバックホーのこと、杉を切っていくと山には杉が残らないのではないか、などいろいろと出されました。

小野一仁さん講演概要

 小野さんは、延岡市北川町祝子の山林約100ヘクタールに杉、桧、檪を育てている若手の週末型林業を個人でやられている人です。自伐型林業は、新聞でみた自伐型林業の記事がきっかけとなったそうです。現在、300メートルの道をバックホーの研修や自伐型林業の講習会などで勉強して週末を利用して作業をされています。父の残した山林をどうすれば残していけるかを考えると現在の林業は儲からない。しかし、研修や講演会などで勉強すると自伐型林業でも収入は得られるだろうと感じてこられました。今は、夫婦でバックホーをの免許を取り、夫婦と母親と3人で活動しています。
 林業でまず大事なのが、道を通すことです。山の資源を活用しやすくなり、手入れも容易になる。それを自分たちの手で、機械を使ってやられています。今年は、材を搬出できるまでに道を通していこうと思っていると言われます。支障のある木を切り、放置することの多くなった今の林業。しかし、小野さんたちの目指す林業は、新たな材料を買うのではなく、そこにある材料を使って道を作るという。お金をかけずにやることで、負担の軽減になり、自然に優しい、環境の保全にも役立つと考えて活動するようになったと言われます。林道を通しながら、その山に合った方法を探して、まずは森林の10%を伐採していく計画だそうです。
 研究会の野々下さんは、どの木を伐るのか、どこに道を通すのかは、データというよりも、経験が大事なのかと思うと言う。どの木が元気があり、将来残していきたい木なのか、そんなことを思いながら自伐型林業をやっています。と言われました。皆伐する今の林業、林業みたいなものと違った自伐型林業は、山の環境保全、自然の回復などにも気を使っていることも小野さんが、やっていこうと決心された理由の一つだということでした。
 今回の話を聞きながら、環境保全のために木を植える活動をしているボランティアにも道というものが必要なのだと感じました。

 雨の降る中を現地視察を行いました。小野さんの実家の周りの山林に雨具を装備して向かいました。この地域の土は真砂土といわれる火山灰の地層があり、その上に表土が薄く乗っているような感じでした。したがって、地盤はさらさらとして道作りは大変だったと言われました。
 実際に木組みをして保護された道や洗い越しという手法で作られた沢を越える道、木製の橋などを渡りながらでしたが、皆さんじっくりと観察しておられました。

 帰りのバスでは、今回の視察は良かったという感想をいただき、いつもの活動と違った方面(道作り)にも興味を持たれたようでした。今後の活動の参考になればと願いながら視察を5時30分宮崎駅に着き解散となりました。


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